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禅の言葉「喫茶去(きっさこ)」に寄せて──今を生きる春の喜び

春の訪れとともに、境内の桜が淡い桃色に染まり、葉桜を迎えました。
長く厳しい冬を経て、ようやく訪れたこの温かな季節を、皆さまも心待ちにされていたことと思います。

禅の世界には「喫茶去(きっさこ)」という言葉があります。
これは「さあ、お茶でも飲みなさい」という意味の真心あふれた禅語であり、「どのような立場の人も、まずは一杯の茶を味わい、今この瞬間を大切にしましょう」という教えを示しています。

春の風が頬をなで、花がほころび、小鳥がさえずる何気ない日常の中にも、仏の教えは息づいています。

忙しさの中で先のことを案じたり、過ぎたことを悔やんだりするのではなく、ただ目の前の景色を味わい、穏やかな心でいること。それこそが、禅の生き方であり、「喫茶去」の教えなのです。

この春、どうぞひと息ついて、茶を飲み、桜を眺める時間をお持ちください。移りゆく季節の中に「今を生きる」尊さを見出していただければ幸いです。
皆さまの心に、春の穏やかな風が吹きますように。
住職 吉州正行 合掌


上記は、正明寺だより令和7年春号(第11号)に掲載された、住職・吉州正行による「諸記」です。
正明寺だより全文は、下記よりご覧いただけます。

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